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プレゼントNO1

朋子と、毎日でも会いたかった。
いつも、声を聞いていたかった。
でも、僕は、朋子に対して、その想いをどう表現し、どう伝えていいのか分からなかった。
僕は、僕と朋子の関係について考えた。
僕達は、まだ、恋人同士とは呼べない間柄なのだろうか?
どうなったら、僕達は恋人同士と呼べるのだろうか?
朋子とキスをしたら、恋人同士になれるのだろうか?
僕には、恋人という言葉の定義も、はっきりと分からなかった。
結局、僕は、ただ思い悩むだけで、朋子に連絡を取らないまま1週間が過ぎた。

その間に晴美から電話があった。
いつもの様に、冗談を言い、最近あった面白い話しをし、1時間という時間を晴美と電話で話した。
そして、電話を切った。
晴美と話をするのは楽しかった。
僕は、あまり他人と打ち解けて話をすることをしなかったけれど、晴美と山崎とは、何故かあまり色々なことを気にせずに話をすることが出来た。
それでも、晴美には朋子とデートをしたことを、山崎には晴美と映画に行った事を話すことが出来なかった。

土曜日の朝、目が覚めた時、今日、朋子に電話をしようと決めた。
電話をする時間は、夕食が終わった後、20時ぐらいが一番いいのではと思った。
その日一日、朋子に電話をすることばかりを考えていた。
一日中、そわそわと落ちか無く時間の経過かが遅く感じられた。
時間を潰すために本を読み、音楽を聴き、散歩をしたけれど、陽はまだ暮れなかった。
結局、僕は自分の部屋でベッドに寝転び朋子とのデートのことを思い出しながら、時計ばかりを眺めていた。
20時になると、待ち合わせをしているかのように、僕は、朋子に電話をした。
受話器を耳に当て、呼び出し音を数えていると、胸が高鳴った。
このまま、電話を切ってしまいたい思いになった。
「もしもし。」朋子の声が、受話器の向こうから聞こえた。
回線の小さな雑音混じりに、確かに朋子の声が聞こえた。

つづく

本を出版しました。
タイトル:春には春の花が咲く
著者名 :さとう そら
39歳になった優一の恋の物語です。
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プレゼントNO2


朋子の声を聞いた瞬間に、僕は、言葉に詰まった。
何を言っていいのか、頭の中が真っ白になって何も言えなくなった。
「もしもし。」不審げな朋子の声が受話器の向こうから再度聞こえた。
「もしもし。」僕は、慌てるように答えた。
「優一君?」朋子が言った。
「そう。」
「どうしたの?」
「いや。別に。」
朋子の声が聞きたかった。
そんな、気の利いた一言が言えなかった。
「ただ、元気かなって思って。」
僕は、上手く言葉が出なくて、そっけない言い方で、味気ない事を言った。
「元気よ。」朋子が、普通に答えた。

僕は、その後、近況を話した。
空手道場のみんなは、変わりなく元気だと僕は言った。
晴美も山崎も相変わらず元気だと言った。
でも、僕は、そんなことを話すために、朋子に電話をした訳ではなかった。
僕は、朋子との会話の間、ずっと落ち着かない気持ちだった。
”今度、何時会える?”と、その一言を切り出すタイミングを、ただひたすらに待っていた。
その一言だけが、僕が、本当に言いたい言葉だった。
他の人のことなんてどうでも良かった。
でも、朋子の会話は果てが無いように続いた。
朋子にとって、僕とのデートの約束は、どうでもいいことなのだろうか。
僕の心の中は、不安でいっぱいになった。

会話が途切れた。
おもちゃ箱が空っぽになって、取り出すおもちゃが無くなったように、次の話題が無くなり会話が途切れた。


つづく

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プレゼントNO3



僕達の会話は、電話回線を介在して途切れたままで、僕は、次の言葉を捜していた。
言葉は、真っ白な雪に埋まった、白兎を捜すように、掘っても掘っても捜し当てることが出来なかった。
沈黙が続いたのは、数秒だったと思う。
その数秒の沈黙が、僕達の間にある深い溝のようなものに感じられた。
その溝を埋められない限り、僕達は、恋人同士にはなれない気がした。
動物園に行こうと、山下公園に行こうと、鎌倉に行こうと、例え、地の果てまで朋子と一緒に行ったとしても、その溝を埋めない限り朋子は赤い手袋を外さない気がした。
僕は、その溝が、何故存在し、どうしたら埋めることが出来るのかについて、明確な答えを持ってはいなかった。

それでも、僕は、僕なりにその溝を埋めようと、受話器に向かって話し掛けた。
「今度、何時、会える?」
それは、僕にとって必死の言葉だった。
喋りながら、胸が高鳴り、声が硬くなっているのが自分でもわかった。
何故、こんな言葉一つを言うのに、こんなにも緊張をするのだろうか。
僕は、朋子の返事を待った。
「ちょっと待って。」朋子が電話から離れる気配がした。
僕は、受話器を耳に当てたまま不安と戦っていた。
「もしもし。ごめん。おまたせ。」
「大丈夫。」
手帳を捲る気配がした。
朋子は、自分のスケジュール表を取ってきただけだった。
「再来週の土曜日なら空いているわよ。」
いったい、朋子もスケジュール表には、僕と会わない日にどんな予定が入っているのか気になった。
それを聞くことが出来なかった。
そんなことを聞くなんてなんとなくかっこ悪い気がした。
「じゃあ、再来週の土曜日。」なるべく、さりげなく言った。

電話を切った後、また、2週間、朋子に会えないのかと思うと溜息が出た。
朋子に取って僕はどんな存在なんだろう。
僕には、朋子のことを考えながら待つことしか出来なかった。

僕の中で、却って溝が深まった気がした。

つづく

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プレゼントNO4

この2週間という時間の流れも、前回と同じだった。
2週間というビデオを巻き戻し同じことを繰り返しているようだった。
学校に通い、本を読み、音楽を聴き、空手道場に行き、山崎と冗談を言い、同じように晴美から一度電話がかかってきた。
そして、僕は、朋子の赤い手袋を思い出した。
いったい、先週、朋子とデートをするまでの2週間と何が違うのだろうか?
一つだけ違いが有るとしたならば、朋子とのデートの思い出が、動物園から、鎌倉が増えただけだった。
人は、こんな風に、ちょっとづつ思い出を増やしながら生きて行くのだろうか?
それで、僕は、大人に成れるのだろうか?
切ないと思った。
堪らなく、朋子に会いたい。
朋子と手を繋ぎ、キスをし、抱きしめたいと思った。
ずっと、ずっと、朋子と一緒にいたいと思った。
今、朋子は何をしているのだろうか?
学校で朋子はどんな友達と会い、どんな会話をし、どんな風に過ごしているのだろうか?
その友達の中に男性はいるのだろうか?
その男性と、お茶を飲んだり、デートをしたりするのだろうか?
一人で、思い悩んでいると、思考は悪いことばかりを想像していた。
僕は、朋子のことに対して知らないことだらけだった。

そして、僕は気がつくと晴美に電話をしていた。
「優一から電話をくれるなって初めてだね。」晴美の声は弾んでいた。
「まあね。」
「明日、台風でも来るのかしら。」
「季節外れの台風が来るって、さっき、天気予報で言っていた。」
「ほんとに!!」晴美は、驚いたように言った。
「嘘だよ。」
「もう。ビックリしたじゃない。」
「ごめん。」
「優一って、何処まで本気で、何処から冗談かわからないわ。」
「人生なんて、冗談の塊みたいなものだ。」
「そうかもね。誰かの言葉なの?」
「サルトル。」
「ほんとに?」晴美は、疑うような言い方をした。
「もちろん、嘘だよ。」
「やっぱりね。そんな事ばっかり言ってると誰からも信用されなくなるぞ。」
「ちゃんと、嘘は嘘って言うさ。」
「変な所、律儀ね。」晴美は、笑っていた。

晴美との会話は、僕の心を柔らかくしてくれた。
そして、晴美との会話を楽しんだ。

「ねえ?」晴美が言った。
「なあに?」
「今、暇?」
「暇と言えば暇だよ。」
「駅まで出てこない?」


つづく

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プレゼントNO5


僕は、晴美から誘いを断る理由が見当たらなかった。
時刻は、16時前だった。
ちょっと、出かけてくると母親に言い残して、僕は駅に向かった。
駅までの道を歩きながら、晴美は、僕に何の用事があるのだろうか?と考えた。
特に、思い当たることはなかった。
駅に着いたとき、晴美は、まだいなかった。
売店の影で、風を避けるように晴美を待った。
晴美が来たのは10分後ぐらいだった。
晴美は、僕の姿を見つけると大きく手を振りながら近づいて来た。
「待った?」
「朝から、待っていた。」
「嘘つき!」晴美は、そう言うと僕の背中を軽く叩いた。

晴美は、何も言わずに歩き始めた。
僕は、晴美の隣を歩いていた。
歩きながら、晴美に、何か違和感を感じていた。
何だろう?
それが、分からなかった。
何かが何時もと違う気がした。
僕達は、駅に隣接している小さな公園向かった。
公園に着くと、晴美は鉄棒の柱に寄りかかるように立った。
僕は、正面から、じっと晴美の顔を見た。
「なに、私の顔、ジロジロ見ているのよ。」晴美が言った。
僕は、自分が感じている違和感のことについて言おうとしたけれど、何か確信が持てずに言葉にすることが出来なかった。
「いや。別に、見ていないよ。」
「見てたわよ。」晴美は、笑いながら言った。
「見ていないよ。」
「私に気があるんじゃないの?」
「口紅。」僕は、突然のように言った。
「やっと分かってくれた。」
「いつもと違う口紅だ。」僕がそう言うと、晴美は、いきなり僕の腹に正拳突きを思いっきり叩きこんできた。
「痛てっ。」咄嗟に腹筋に力を入れたが、結構痛かった。
「全然、私のこと見ていないでしょ。」
「見ているよ。」
「見ていない。」
「見ているよ。」
「見ていないわよ。じゃあ、前とどう違うのか当ててみてよ。」
前がどうだったのか、まったく自信が無くなっていた。
「分からなかったら、私、このまま帰るよ。」晴美は、結構本気で怒っているようだった。
前と何が違うのか?
必死に違いを、思い出そうと記憶を手繰った。
前は、もっと、もっと、薄い色だった気がする。
僕は、晴美の唇を見詰めた。
「何時も、口紅をしていない。」僕はそう言った。

つづく

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さとうそら

Author:さとうそら
2009年12月に、本を出版しました。
タイトル「春には春の花が咲く

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