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告白NO10

「でも、寒いわね。」朋子が言った。
「冬だから。」
「優一君の好きな場所は?」
僕の好きな場所は何処だろう?
僕は、いったい何に安らぎを感じるのだろうか?
「わからない。」僕は言った。
本当は、”今、二人でこうしている場所”と言いたかったけれど言うのを止めた。
「わからないの?」朋子が不思議そうに聞いてきた。
「さっきまで、分かっていた気がする。」
「でも、今、分からなくなったの?」
「今は、わからないことだらけ。」僕は笑った。
「そうね。生きるって、そんなものなのかもね。」
「いつか、わかりたい。」
「そういう日が、来るといいね。」
「うん。」
「私、宮沢賢治が好きなの。なんとなく恥ずかしくって誰にも言ったことないけど、
”銀河鉄道の夜”が特に好き。」
「読んだこと無いよ。」
「親友がね、川で溺れたクラスのいじめっ子を助けるために川に飛び込むの。」
「うん。」
「いじめっ子は、助かったけど、親友は死んでしまう。
 その親友と、銀河鉄道に乗って宇宙を旅するの。
 途中で、いろんな人に出会って、みんな途中で降りていくの。
 最後に二人きりになって、でも、主人公は最後まで親友と一緒に行くことができないの。」
朋子は、物語を思い出すように、ぽつりぽつりと話をした。
僕は、それを、黙って聞いていた。
「私、ダメね。
 全然、上手く説明できない。
 子供の頃から、感想文書くの苦手だったからな。」朋子は、そういうと小さく笑った。
「今度、読むよ。」
「そうして。」
辺りが、少しづつ暗くなっていった。
吐く息の白さが濃くなっていった。
「寒くないの?」手袋をしていない、僕の手を見て朋子が言った。
「少し寒い。」僕は、指先を動かしながら言った。
「少しなんだ。」朋子が、また、笑った。
「すこし。」僕は、短く答えた。
凍えた風が、二人を通り過ぎていった。
「歩く?」僕が、言った。
「そうしよ。」朋子はそう言うと、立ち上がった。
海に向かって大きく伸びをした。
今しかない。
今言わないと。
僕は、ありったけの勇気を振り絞った。
「ねえ。」
「なあに?」
「今度の日曜日。」僕は、言葉を切った。
次の言葉を捜した。
「今度の日曜日?」朋子は僕の言葉を繰り返した。
「一緒に遊びに行きたい。」
僕は、そう言うのが精一杯で、朋子の顔が見れなかった。
海を見ていた。
朋子は、黙っていた。
僕の心は、不安で一杯になる。
朋子は、何も言わずに歩き出した。
僕は、どうしていいのかわからずに、朋子の後ろを歩いた。

つづく

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Author:さとうそら
2009年12月に、本を出版しました。
タイトル「春には春の花が咲く

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