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寒椿NO12


朋子は、電車が止まらないかを真剣に、そして深刻に心配をしていた。
結局、僕達は、急いで帰ることにした。
喫茶店を出ると、雪は強くも無く、弱くも無く降り続いていた。
コンクリートから剥き出しになった街路樹の根元に薄っすらと、土色を透かしながら積もっていた。
「寒い。寒い。」と朋子が言った。
並んで歩く朋子の肩が、僕に近寄り、やがて僕に触れた。
僕達は、肩を寄せ合うように並んで歩いた。
もっと、雪よ降れ。
心の中で、そう叫んだ。
僕の心臓は、マラソンランナーのように歩きながらも高鳴っていた。
もっと、もっと、朋子と触れ合いたかった。

鎌倉駅に着くと、電車は、遅れることも無く時刻どおりに動き続けていた。
朋子は、ほっとした表情になり、僕は、少しガッカリした。

その後、僕達は、横須賀駅で別れた。
朋子は、雪だからと駅前からタクシーに乗って帰っていった。
タクシーの窓から手を振る朋子を眺めながら、また、僕は、一人取り残されたような感覚を味わった。
なんとなく、僕は、雪の中を歩き始めた。
横須賀駅から、海沿いの公園に出るとぼんやりと海を眺めた。
遠くに米軍の艦船が3艘、並んで停泊しているのがみえた。
雪は、海に舞い落ち波に呑まれるように消えていった。
周りには、誰もいなかった。
時折、背後から車のエンジン音が聞こえて来るだけだった。
その音だけが、僕と現実とを繋ぎとめている唯一の物のような気がした。
海を眺めていると、胸の奥から訳の分からない苦しさの様な物が湧き上がり、喉の奥から迫り出して来そうだった。
人を好きになるということが、何故、こんなにも苦しいのだろうか?
苦しむために、人と人は出会うのだろうか?
何も分からない。
雪の勢いが、少し強まった。
髪の毛に、積もり始めた雪を指で払いのけると、指先が凍えた。
指先に息を吹きかけ、何も無い空間を掴むように指を動かすと、タバコを取り出し火をつけた。
タバコを咥えたまま、ジーンズのポケットに指を突っ込むと、僕は白い虚空に向かって歩き始めた。

雪の舞う海の上を、カモメが一羽飛んでいた。

つづく

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Author:さとうそら
2009年12月に、本を出版しました。
タイトル「春には春の花が咲く

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