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プレゼントNO19

晴美は、そう言うと何かを考えるように黙った。
「多分。
 僕にとって、晴美は、必要な存在なんだと思う。」
「多分?」
「晴美と会えなくなったら。
 そう想像すると、きっと寂しい気持ちになると思う。」
「私ね。
 優一と一緒にいる、ほとんどの時間は、とても楽しいの。
 公園のベンチで、並んで座っているだけで楽しいの。
 北風が吹いて、とても、寒くても、ずっとこうやって優一に寄り添って座っていたいって思っているの。
 でもね。
 時々。
 ほんとに、時々なんだけど。
 とても、不安になることがあるの。
 優一が、何処か、遠くに行ってしまいそうで。
 私の手の届かない所に行ってしまいそうで。
 隣にいるのに。。。。
 不安で。
 不安で。
 優一を繋ぎ止めなきゃって。
 心の中があせちゃって。。。」
晴美は、そう言うと、また黙った。
遠く、水平線の向こう側を覗くような目をすると「私、何を言いたいのか分からなくなっちゃった。」そう言って、口元だけで笑った。
僕は、何を言いいたいのかどころか、何を言っていいのかわからなかった。
自分の心の中が混沌としていた。
そして、その混沌とした心を抱えたまま、僕の口から吐き出される言葉は、全てが軽薄で、薄っぺらで、まるで内容の無い、自分勝手な言葉のような気がし、僕は、黙った。
気がつくと、晴美は、僕の顔をじっと見詰めていた。
そして、右手で、僕の左手を力を込めて握ってきた。

僕が、朋子に感じている苦しさと同じようなものを、晴美は、僕に対して感じている。
それが、握り合った手から感じることが出来た。
繋いだ手から伝わる晴美の想いの強さを、感じれば、感じるほどに、僕の胸は締め付けられた。

晴美は、僕の顔をじっと見詰めた後、僕の肩に甘えるように顔を埋めてきた。

晴美の黒髪に舞い降りた桜の花びら一つ。
そっと伸ばした右手で摘み、手のひらに乗せると風に吹かれ宙に舞った。

花見に興じる人々の笑い声が、風に乗って、僕の身体を通り過ぎて行った。

つづく



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春には春の花が咲く春には春の花が咲く
(2009/12/01)
さとう そら

冷え切った夫婦関係、生きがいのない空虚な毎日を送る香が知ってしまったあまりにも甘美な恋……。チャットルームで知り合った香と優一。たがいに家庭を持つ身ながら、二人の恋は燃え盛り深く結ばれる。が、突然優一との連絡が途絶えてしまう。許されざる愛の報いは、かくまでも冷酷なものなのか。約束のない愛だから信じていたい。切ない恋に生きる女の業とやさしさ、潔さそして強さを描いた小説。


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テーマ : 恋愛小説
ジャンル : 小説・文学

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さとうそら

Author:さとうそら
2009年12月に、本を出版しました。
タイトル「春には春の花が咲く

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