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溝 NO5

7月の終わりの日だった。
朝、目覚めた時から、太陽は強く地上を焼くように照らし続けていた。
ジリジリと音が聞こえてきそうなほど、強い日差しだった。
僕と晴美は、駅で待ち合わせをして、電車に乗ると市内で一番大きなプールに向かった。駅から、プールまでの道は、ここ数年のうちに出来た新興住宅街で、町並みは整然としていて、舗道には等間隔に街路樹が植えられて、僕は、外国映画のセットの様に思えた。
街路樹の木陰を選ぶように、僕と晴美は並んで歩いていた。
海が近く、時折、吹き抜ける風は、潮の匂いを運んで来ていた。
「とても、綺麗な町ね。」晴美が言った。
「全てが、規則正しく並んでいる。」
「どんな人が住んでいるんだろう?」
「毎日を規則正しく過ごせる人かな。」
「たとえば?」
「歯を磨く順番とか、身体を洗う順番とか規則正しく行動する人達。」
「じゃあ、ご飯のおかずを食べる順番も?」
「もちろん。
 全てを決まりごとの中で過ごす。」
「息が詰まりそうね。」
「規則から外れた世界では、自分たちがどう振舞っていいのか分からなくなるんだよ。」
「優一には、とても出来そうにないね。」
「そうかな?」
「そうよ。
 まったく、手順を無視するじゃない。」
「そんなことないと思うよ。」
「思いっきり、手順を無視してるわよ。」
「たとえば?」
晴美は、何かを言いかけて照れたように黙った。
そして「教えない。」と笑いながら言った。
「なに?」
「教えないよ!」
「そこまで言ったんだから教えてよ。」
「い や だ。」と一言づつ区切るように言った。
「教えろよ。」
「知りたいの?」
「気になる。」
晴美は、少し考え込む振りをして言った。
「私のこと、好きって言ってくれないのに、キスをした。
 順番、逆よ!」
そういうと、晴美は、ふざけたように僕を睨んだ。
「こういう風に?」
僕は、隣を歩く晴美の肩を抱き寄せ、ふざけたように頬にキスをした。
晴美の頬は、しょっぱい汗の味がした。
それは、嫌な味ではなかった。

僕と晴美は、真夏の太陽の下で、自分たちの心の奥をふざけるような仕草で誤魔化合っていた。

つづく

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テーマ : 自作恋愛連載小説
ジャンル : 小説・文学

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Author:さとうそら
2009年12月に、本を出版しました。
タイトル「春には春の花が咲く

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