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溝NO17


僕は、膝を抱えたまま、薄暗くなった空を見上げている。
波の音が耳に届く。
隣にいる晴美の繋いだ手の温もりが、僕に届く。
その温もりが、この世で唯一、確かなもののような気がしてくる。

「小学校5年の時、海の近くに家族4人で住んでいたんだ。
 親父とお袋。
 そして、僕と瑞希。」
瑞希という言葉を口に出したとき、僕の胸が、締め付けられるように痛んだ。
瑞希が、死んでから、僕は初めて瑞希という言葉を口に出して言ったような気がした。
でも、その記憶は、確かなものではなかった。

「瑞希?」晴美が、言った。
「瑞希と言う、妹がいたんだ。
 夢でもなく。
 幻でもなく。
 現実の暖かな身体と、優しい心を持った妹がいたんだ。」

晴美は、黙っていた。
黙って、僕の手を握り、僕の横顔を見詰めていた。

「瑞希と、いつも近くの海岸で遊んでいた。
 瑞希と、いつも躑躅の木の傍で、かくれんぼをしていたんだ。
 いつも。
 いつも。
 瑞希が、隠れて、僕が瑞希を見つけていたんだ。
 でも、もう、瑞希を見つけることが出来ない。
 どんなに長い時間がかかっても。
 地球が太陽の周りを何周しても。
 瑞希を見つけることが出来ない。」

晴美の手に、力が入った。
僕は、晴美の温もりを確かめるように、力を入れかえした。
このリアルな力だけが、僕を現実の世界に繋ぎとめているようだった。

「僕は、瑞希を、傷つけてしまったまま、謝ることも出来ずに。
 ずっと、瑞希を探していた。
 自分の心を押し隠して、ずっと、ずっと、瑞希を探していた。」

僕は、歯を食いしばった。
僕は、心を食いしばった。
僕は、生まれて初めて、自分で自分の弱みと思って耐えていたことを、苦しんでいたことを口に出して話そうとしていた。

「瑞希は、小学校一年のときに、死んだ。
 瑞希と最後に会ったとき、僕は、自分の都合で機嫌が悪くって、瑞希に八つ当たりをしてしまった。
 その日の夜。
 瑞希は死んだ。
 空が澄んでいて、何時も以上に星が綺麗な秋の夜だった。
 意識の無い、瑞希は、最後に突然目を開けて、僕の顔を見て、微笑むと涙を流した。
 僕は、この指で瑞希の涙を拭いた。
 それが、最後だった。
 どんなに謝っても。
 どんなに名前を呼んでも。
 どんなに会いたくても。
 もう、瑞希は何処にもいない。
 真っ白な。
 小さな。
 骨になっちまった。
 もう、何処にもいない。」

僕は、これ以上言葉が出なかった。
これ以上、言葉を口に出したら、言葉と一緒に涙も出てしまいそうだった。

晴美が、僕の肩に顔を乗せてきた。
僕は、肩に晴美の心地よい重さを感じた。
僕は、晴美の肩を抱いた。

「少しでいいの。
 ほんの、少しでもいいの。
 優一の苦しみを、私にも分けて。」晴美が、小さな声で言った。

「僕の苦しみは、僕自身が背負っていくものだと思う。」僕が言った。
 
Tシャツ越しの肩に、温かな湿り気を感じた。
晴美は、声を出さずに、僕の肩に顔を隠すように泣いていた。

「私、なんだか、辛い。」晴美が言った。
「わたくしもまっすぐにすすんでいくから。」僕の口から、宮沢賢治の詩の一説が零れた。

どんなに辛くても。
どんなに苦しくても。
どんなに過酷でも。

灼熱の太陽に焼かれても。
極寒の吹雪に包まれても。

僕は、真っ直ぐに進んでいきたい。
おれはひとりの修羅なのだ。

太陽は、西の空に沈み、辺りは闇に包まれていた。
僕の耳には、波の音に混じって、すすり泣く晴美の声が届いていた。

つづく

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さとうそら

Author:さとうそら
2009年12月に、本を出版しました。
タイトル「春には春の花が咲く

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