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告白NO2

突然降り出した雨に、僕は、傘を持っていなかった。
道場の玄関で、空を見上げている僕に声がかかった。
「傘、無いの?」朋子の声だった。
僕は、声の方を振り向いた。
朋子が、僕を見ていた。
「持ってこなかった。」
「入る?」朋子が、赤い傘をさしながら笑顔で言った。
「この位なら大丈夫。」僕は、照れ隠しに強がった。
そして、雨の中を歩き出そうとした。
朋子は、僕の頭の上に傘を差し出しながら「風邪ひくわよ。」と言った。
そんな僕たちを見て、他の道場生から、からかいの声があがった。
「恋人同士みたいだな。」そんな声が、僕の耳に届いた。
僕は、そう言われることが嬉しかったけど、どう対応していいのかわからなかったから
聞こえない振りをした。
僕は、朋子から傘を受け取った。
一瞬、僕の指が、朋子の指に触れた。
それだけで、僕の心臓は高鳴り、朋子の指の感触がいつまでも残っていた。
「ありがとう。」僕が、言った。
「え?」
「傘入れてくれて。」
「私の傘に入るのは、高いわよ。」朋子が笑いながら言った。
「お礼します。」
「冗談よ。」
「はい。」僕は、照れたように言った。
「可笑しい。まじめなのね。」また、朋子が笑った。
「まじめですか?」
「まじめじゃないの?」
「自分では、分からないです。」
僕は、朋子が濡れないように傘をさした。
僕達の歩く速度が、いつもより遅くなり、皆から遅れ始めていた。
少しづつ皆の姿が小さくなっていった。
時折、朋子の肩が、僕の肩に触れた。
僕の意識は、自分の肩に集中した。
「皆から、随分遅れちゃったね。」朋子が言った。
「急ぐ?」急ぎたくなんかなかった。
このまま、一つの傘の中、二人で歩いていたかった。
霧のような雨が、僕たちだけの世界を作ってくれているようだった。
「急ぎたい?」朋子が言った。
「別に。」僕は、ぶっきら棒に答えた。
僕たちは、初めて二人っきりになった。
二人っきりになると、どう対応していいのか分からなかった。
照れ隠しに強がることしか、僕には出来なかった。
「別になの?」朋子が、僕の方を少し見上げるように言った。
「急ぎたくないです。」
「そう。素直な心を言葉にしたほうがいいわよ。」
朋子はそう言うと、軽く僕の肩を叩いた。
僕は家に帰っても、朋子に触れられた残像記憶が肩に残っていた。
叩かれた部分が、いつまでも温かかった。
「濡れているじゃない。」
朋子が、僕の肩を見て言った。
「傘がほとんど、私の上にあるわよ。」朋子が傘を見上げながら言った。
「やさしいのね。」朋子が、僕を見た。
僕は、上手く答えられずにうつむいた。

駅に着くと、先を歩いていた道場生は、誰もいなかった。
僕たちは、どちらから誘うわけでもなく、駅前の喫茶店に入った。



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Author:さとうそら
2009年12月に、本を出版しました。
タイトル「春には春の花が咲く

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