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溝 NO8

八月に入ると、街に祭りがやってきた。
屋台が並び、焼きそば、たこ焼き、お好み焼き、雑多な匂いが祭囃子の音色と同化し大気の中に混じりあっていた。
僕は、一人で、家族連れや恋人たちに混じって雑踏の中を歩いていた。
何か宛があったわけではなかった。
なんとなく、一人で歩きたかった。
黒のリーバイスのスリムジーンズに、赤いアロハシャツと赤いコンバースのバスケットシューズを履き、大人になったつもりで、ジーンズのポケットに両手を突っ込んだまま人ごみの中を歩いていた。

客観的に見て、その姿は、大人というよりもただのチンピラである。
その時の僕には、少し粋がった格好をして街を一人、誰ともつるまずに歩くことで、自分が少し大人になったような気がしていた。

陽はビルの陰に落ち始めていた。
それでも、街は熱気に溢れていた。
歩いていると、汗が額に滲んでくる。

僕は、ビリージョエルのPIANO MANを口ずさみながら、小走りに点滅した青信号を渡る。



人ごみを避け、路地裏へと向かった。
飲食店が立ち並び、エアコンの室外機から、騒音と共に熱風が吐き出されている。
人気の無い場所に立ち止まると、ジーンズのポケットから、皺くちゃになったハイライトを取り出すとジッポのライターで火をつけた。
オイルの匂いが、一瞬、立ちこめ、吐き出したタバコ煙にかき消された。
張り込み中の刑事のように、電信柱に寄りかかりタバコを吸った。
ぼんやりと、通りの人ごみを見ていた。

朋子が、先ほど渡った横断歩道の向こう側を歩いていた。
すぐに、人ごみの中に紛れ視界から消えた。
見たのはほんの一瞬だった。
間違いが無い。
間違えるわけが無い。
朋子だ。

僕は、信号が青なのをかくにんすると、タバコを地面に投げ捨てバスケットシューズで踏みつけ揉み消し、走り出そうとした。

その瞬間、突然、後方から見知らぬ男性に腕を強く掴まれた。


つづく

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テーマ : 自作小説
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Author:さとうそら
2009年12月に、本を出版しました。
タイトル「春には春の花が咲く

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