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春と修羅NO4

女の子と、初めてのデートのとき、何処に行ったらいいのか分からなかった。
朋子に”何処に、連れて行ってくれるの?”問いか掛けられて、決めてないとは答えられなかった。
「行きたい所ある?」と僕は言った。
「優一君にお任せするわ。」
なんだか、僕は、朋子に試されているような気がした。
つまらない所に連れて行ったら、二度とデートをしてあげないと、言われているようだった。
でも、僕は、気の利いたお洒落な場所など知らなかった。
僕は、まるで、自分の中にデートに行く場所の候補がいくつもあって、どれにしようか悩む振りをした。
そして、決まったルーレットの数字を読み上げるディーラーのように、「横浜。」と言った。
「お洒落な場所に、連れて行ってくれるのね。」朋子が言った。
でも、結局、僕達が行ったのは、無料で入れる横浜の野毛山動物園だった。
お洒落な場所とはいいがたかった。

僕達は、喫茶店を出ると、切符を買い赤い私鉄電車に乗った。
切符を買うとき、朋子の分と合わせて2枚買い、二人分の代金を払った。
朋子に切符を渡すとき、朋子の指が僕の指に触れた。
「ありがとう。」と言った、朋子の言葉と、触れた指先の感触。
僕が、朋子に”ありがとう”と言いたかった。
朋子は、切符を受け取ると、鞄からお財布を出して、切符の代金を僕にくれた。
男として、これを受け取っていいのかと迷いながら、素直に受け取ってしまった。

電車は比較的空いて、並んでシートに座った。
「動物園なんて久しぶりだな。
 小学校の遠足以来かも。」と朋子が言った。
「俺も。」そう答えながら、自分の中に何かが引っかかった。
忘れてはいけない何かが、僕の心を少しかき乱していた。
それが、何かが分からなかった。
何かを思い出そうとして、思い出せなかった。
「遠い目をしている。」朋子が言った。
「優一君は、時々、遠い目をする。」
自分では、気が付かなかった。
でも、自分の中で思い当たることがあった。
「そうかな?」
「そうよ。
 何を見ているの?」
「心象スケッチ。」と僕は、宮沢賢治の詩の一節を言った。
「宮沢賢治。」
「うん。」
「読んでくれたのね。」
朋子の顔が、とても嬉しそうだった。
朋子の笑顔一つで、僕の心は浮かれた。

つづく

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Author:さとうそら
2009年12月に、本を出版しました。
タイトル「春には春の花が咲く

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