スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

春と修羅NO8

僕達は、山下公園にたどり着いた。
海に面した手すりにもたれる様に、僕達は海を見ていた。
沖合いを貨物船やタンカーが、ゆっくりと進んでいった。
カモメの鳴き声の中、時折、霧笛が響いてきた。
横浜の港に沿った公園には、冬でも恋人たちで溢れていた。
恋人たちは、手を繋ぎ、腕を組み楽しそうに歩いていた。
どうしたら、朋子と手を繋げるのだろうか?
僕は、そのことを考えていた。
地面を見る振りをして、僕は、朋子の手を見た。
朋子の手は、コートのポケットの中に固く仕舞われていた。

「私、山梨で生まれ育ったの。
 山しかない小さな町だったわ。
 小さいとき、ずっと、海に憧れていたの。
 海に行きたいって、ずっと、思っていたの。
 小学校3年のときだったわ。
 家族で、初めて海に行ったの。
 伊豆の方だったと思う。
 嬉しくってね。
 ずっと、ワクワクしていた。
 お父さんが運転する車から、初めて海が見えたとき、とっても感動したの。
 何処までも広くて。
 青くて。
 太陽の光でキラキラ輝いていて。
 今でも、あの風景を覚えている。
 早く、海の水に触れたかった。
 でも、水着に着替えて、初めて海に触れたとき、とても怖かった。
 波の奥に引きずりこまれそうで。
 怖くて海に入れなかった。」
僕は、朋子の言葉を黙って聞いていた。
「中学校1年のときに、山梨から横須賀に引っ越してきたの。
 横須賀っていう言葉の響きがとても素敵で。
 素敵な街なんだろうなって思っていた。」
「素敵だった?」
「どこか、独特の雰囲気があるわ。
 でもね。
 転校をして、すぐにイジメにあったの。
 今、思うと大したイジメじゃなかったけれども、あの時の、私にとってはとてもショックだった。
 一人の男の子が、助けてくれたの。
 私をイジメた人に対して、”そういうこと、やめろよ”って一言言ってくれたの。
 それで、私は、その男の子に恋をしたの。
 ずっと片思い。
 ずっと思い続けていたの。
 告白なっんて出来なかった。
 ただ、思い続けていたの。」朋子は、懐かしそうに言った。
僕の胸の中は、今までに感じたことが無いような複雑な気持ちで一杯になった。
沖を走る船を眺め続けていた。
「高校は、別々になったの。
 だから、もう、この片思いも諦めようと思った。
 彼が、あの空手道場で空手を習っているって知ったの。
 それで、私も習い始めたの。
 とても、不順な動機。」朋子は、そういうと口元だけで笑った。
「今でもいるの?」
僕は、そう言うのが精一杯だった。
その、答えが怖かった。

つづく

blogram投票ボタン

ランキングアップにクリックお願いします!

人気ブログランキングへ クリックお願いします!

にほんブログ村 小説ブログへ
他の人の小説も読んでみてください!

スポンサーサイト

テーマ : 更新報告・お知らせ
ジャンル : 小説・文学

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

さとうそら

Author:さとうそら
2009年12月に、本を出版しました。
タイトル「春には春の花が咲く

カテゴリ
小説を読むときは、かくれんぼ から読んでください。
最新コメント
ランキング
ランキングアップに協力を!! どれか一つでもクリックしてくれると嬉しいです!!
訪問をお知らせください
おきてがみ
ブログパーツ
カウンター
アクセスランキング
[ジャンルランキング]
小説・文学
3648位
アクセスランキングを見る>>

[サブジャンルランキング]
オリジナル小説
889位
アクセスランキングを見る>>
yahoo
人気記事
表示は新着順なので、ブログの記事に直接リンクしてどんどん登録してください。
最新記事
最新トラックバック
あわせて読みたい
あわせて読みたいブログパーツ
アクセスアップサービス
月別アーカイブ
フリーエリア
マイクロアド
時間があったらクリックたちよりしてね
おこづかいゲット!
ペット
自動リンク
自動でリンクが増えていきます
検索フォーム
NINJA
簡単にポイントたまります。
忍者アド
植林活動
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QRコード
ブログ広告
ブログ広告ならブログ広告.com
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。
サンプル・イベント・モニターならBloMotion