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春と修羅NO9

僕は、朋子の答えを待った。
少しの間が空いた。
5秒か、10秒か、ほんの僅かな時間が僕には随分と長く感じた。
僕の周りから、風景が消え去ってしまったようだった。
朋子は、ポケットから手袋をした手を取り出すと、何かの、おまじないのように自分の両頬にあてた。
「彼は、私が入ってから、半年後には辞めちゃった。」
「なんで?」
「分からないわ。
 一言も喋ったことないんだもん。」
「そうなんだ。」
「うん。」
僕は、少し安心をした。
でも、僕の心の中に、見たことも無い彼の存在が住み着いた。
「寒くなってきたね。」朋子が言った。
吐く息の白さが色濃くなっていった。
「そうだね。」
僕は、自分の息を両手に吹きかけた。
空が少し暗くなり始めていた。
夜の闇が、間近に迫っていることを感じさせた。

僕達は、山下公園から元町を抜けて、石川町駅に出た。
元町の商店街のウィンドーには、僕とは無縁なお洒落な服やアクセサリーが並んでいた。
朋子に誘われるままに、狭い階段を上り、紅茶専門の喫茶店に入った。
僕は、この世に、紅茶専門の喫茶店が存在することすら知らなかった。
お店の中は、アンティークな木目調の雰囲気で、お洒落な感じだった。
そして、多分品のいい音楽が会話を邪魔しない程度の上品さで流れていた。
この店では、皆、上品な他人の噂話をしているように感じられた。
メニューは、僕の知らない紅茶の名前が並んでいた。
僕の知っている紅茶の名前は、リプトンと日東だけだった。
どちらも、そのメニューには存在しなかった。
なんだか、僕には落ち着かない。

「私、今月で、辞めることにしたの。」朋子が、突然に言った。
つづく

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Author:さとうそら
2009年12月に、本を出版しました。
タイトル「春には春の花が咲く

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